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られる必要が条件である。もともと、1980年9月23日OECD(Organization for Economic Cooperation and Development)経済協力開発機構理事会による「プライバシー保護と個人データの国際流通についてのガイドライン」の勧告が出された背景の一つは、各国が情報流通とプライバシー保護との調和を図ることにある。

この勧告の趣旨からして、広域行政サービスを行おうとするにあたり、関係地方公共団体は、ほぼ同一の規定水準で整備される必要があることは明らかである。

情報ネットワーク時代における地方公共団体の行政には、この個人情報保護条例は不可欠のものであり、一刻も早くこのアンバランスの解消に関係機関が努力すべきであろう。

つぎは、オンラインによる他団体との結合禁止を規定している地方公共団体が74.8%あることである。なお、この場合、絶対的禁止としているところと、審議会に諮問してその答申により可能としているところがある。

この規定は、ネットワークによる広域行政サービスを不可能とするものである。

また、阪神淡路大震災のときの被災者の氏名をインターネットを用いて発信し、多くの方々から評価されたことにどう対応するか。個人情報保護条例を理由に同様な発信をもし避けるとしたら、世界中から非難されるであろう。絶対的禁止の条例を有する地方公共団体は、至急再検討が必要である。

つぎに、個人情報の範囲について再検討が求められることである。

個人情報は、個人生活に関し特定の個人が識別されうる情報で記録されているものをさすが、地方公共団体が有する個人情報であると思われる。

学校教育での児童生徒がコンピュータのサーバー上のホームページに、自分のプロフィールを作りインターネットにより発信した場合に、実施機関の個人情報とみなすのか。今後インターネットの普及により、災害時の被災者の状況や教育上の発信が行われることは、容易に予測される。

このためにも情報ネットワーク時代に適合した、個人情報保護制度のあり方の再点検が期待されるところである。

 

 

 

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